続・竹林の愚人 古代の暮らしと祈り

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古代の暮らしと祈り


古代の暮らしと祈り (環境の日本史)古代の暮らしと祈り (環境の日本史)
(2013/02/06)
三宅 和朗

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京樂真帆子 「平安京都市社会と火災」
貞観8年(866)に起こった、応天門の炎上事件は、左京の大宅鷹取という人物が、大納言伴善男とその息子中庸とが応天門に放火した、と告発し、「天火・人火とも知らず」とされていた火災は、政治的事件へと展開した。
『伴大納言絵巻』にも描かれた応天門の変の背後には、清和天皇・太政大臣藤原良房・右大臣藤原良相らがくりひろげたパワーゲームがある。
天徳4年(960)に起こった内裏焼亡事件では、天皇は天皇の地位を示すレガリアである剣と璽などを宮人にもたせ、腰輿に乗って、天皇は内裏の南にある太政官朝所へ、さらに職曹司に移動した。
内裏の不在は、そこで行われるべき政務の方式を変えることになり、貴族の邸宅に里内裏が設定された。

平安期には、火のコントロールを失った状態であるとして、火災そのものを「失火」と呼んだ。
しかし、平安京の火災には、人為的に引き起こされた放火も含まれる。
それは、盗賊たちが盗みを働くために標的の建物に火を放つ「盗火」で、天皇が住まう内裏も盗火の標的となった。
盗賊たちが物を盗むために放火するという現象は、富の集積地である平安京でこそ顕著なのである。

内裏での火災には、武官である近衛が主体となって消火活動に当たり、その他の院と呼ばれる邸宅の火災には衛門府が主として消火活動に当った。
夜に起こった内裏火災には、宿直者で対応するほかなく、文官も消火活動に従事した。
平安時代の消火活動は、水を「沃」ぐだけではなく、「撲」つまり火を濡れた布などで叩いて消すという方法や、「撥」という延焼を防ぐための破壊消防が行われた。
つまり、人手がたくさん必要で、武官・文官をとわず在勤の宮人たちが集合し、さらに、庶民たちの力をも集めて消火活動が行われた。
 
さて、火災が起きたときに直接に消火活動に従事せずとも、現場に待機する人々がいた。
天徳4年の内裏焼亡のときも、公卿たちが天皇の避難先へ集まって、天皇の安全をはかるために近侍し、消火活動などの指揮を執ったと考えられる。
こうした行動規範は、内裏への類焼を危険視して近侍するという作法へと展開していった。
これは公卿の義務と認識されるようになったらしく、やむをえぬ事情で内裏に駆けつけることができない公卿は、いわば「欠席届」を出すことがあった。
こうした参集では、到着順をも気にしたようである。

平安京で火災が起こったら、貴族たちは火元に急ぎ駆けつける。
また、火元に近いところに自分とゆかりの人の屋敷などがあれば、消火・防火活動に駆けつけるか、あるいは、火事見舞いに出かける。
火事見舞いの場合、避難している場所を把握して、直接本人に見舞いの意思を示さねばならななかった。
このように、平安京で火災が起こった場合、消火活動以外にも人々が動いていた。
何かが起こったときにお互いに見舞いあう、「とぶらひ」あうという人的ネットワークが成立していたのである。
平安時代の末期、保元元年(1156)に起こった保元の乱では戦術として焼き討ちが行われ、その後も平安京・京都は戦乱の場となり、その度に、「戦火」や「兵火」が都市を襲う。
こうした火災は、平安京都市社会がはぐくんできた「とぶらひ」にあらわれる人的ネットワークだけではもはや対応できない事態であった。
そして、平安京は中世京都へと移っていくことになる。
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  1. 2013/06/16(日) 07:00:06|
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