続・竹林の愚人 辞書を編む

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辞書を編む


辞書を編む (光文社新書)辞書を編む (光文社新書)
(2013/04/17)
飯間 浩明

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『三省堂国語辞典』を生み出したのは、見坊豪紀という辞書編纂者で、初版から第4版まで編集主幹を務めました。
この人のすごいのは、生涯に145万語の日本語の用例を採集したこと。
まだ辞書に載っていないことば、用法はないかと、活字や音声、街の中などから、来る日も来る日も、ことばの実例を探しました。
国語辞典編纂にたずさわったのが1939年から亡くなるまでの約50年間。
正味30年あまりに1年に4万数千語を集めた計算です。
三省堂の倉庫の立ち並ぶ移動式書架に、「見坊カード」という七夕の短冊形の用例カードがざつしりと詰まっています。
カードには新聞・雑誌などから切りぬいた原文が貼りつけられ、見出し・出典・日付・ページなどが書きこまれています。

集まった実例が他の辞書が注意していない、新鮮なものであればあるほど、『三国』の個性は際立つと見坊は考えました。
見坊が生涯に採集したことば145万語の内、彼の編纂した『三国』に載ったのは初版で約5万7000語、生前に刊行された最後の第4版で約7万3000語です。
実際に辞書に載ったことばは、「たかだか」と言ってもいいほど少ない数です。
本当に必要なことばを集めるためには、未知のことばはもちろん、当然知っていることばでも、改めて別の面から眺めてみて、価値を再発見するという姿勢が不可欠です。
見坊が一握りの採用語を得るために、膨大な数の不採用語を集めたその情熱的な営みこそが『三国』という辞書の個性を形づくったと、今の私は考えています。

おもしろいのは『新潮現代国語辞典』で、明治から戦後までの文学に混じって、山田詠美『ひざまずいて足をお舐め』(1988年)という現代文学が1作品だけ入っています(「SM」「ストリッパー」などの項目)。
『広辞苑』第6版(2008年)の改訂作業の時、「キャバクラ」という項目を載せるかどうかが問題にり、「そこまでして載せる項目か?」と考えたというのは、いかにも『広辞苑』の真面目さを表すエピソードです。

基本語の記述はどの国語辞典も苦心しており、中でも編著を悩ませているのが「右」「左」の語釈です。
空間を二分したときの一方の側。その人が北に向いていれば、東にあたる側。(『大辞林』第3版)
南を向いた時、西にあたる方。(『広辞苑』第6版)
『新明解国語辞典』はこの点工夫して、
アナログ時計の文字盤に向かった時に、1時から5時までの表示のある側。(『新明解国語辞典』第7版)
岩波は簡潔な、しかも核心を衝いた語釈を施しました。
相対的な位置の1つ。東を向いた時、南の方、また、この辞書を開いて読む時、偶数ページのある側をいう。(『岩波国語辞典』初版)

ところが、辞書の電子化の時代を迎え、
横に(広がる/ならぶ)もののうち、一方のがわをさすことば。「一」の字では、書きおわりのほう。「リ」 の字では、線の長いほう。(『三国』第7版原稿)
『岩波』の(偶数ページ)というインパクトはないかもしれませんが、「『岩波』の『右』を超えたい」と願いながら語釈を考えました。
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