続・竹林の愚人 遙かなる海上の道

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遙かなる海上の道


遙かなる海上の道―日本人の源流を探る黒潮文化の考古学 (プレイブックス・インテリジェンス)遙かなる海上の道―日本人の源流を探る黒潮文化の考古学 (プレイブックス・インテリジェンス)
(2002/03)
小田 静夫

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今から7000~6500年前頃、九州最南端の佐多岬沖合約50kmの海底にある「鬼界カルデラ」から起こった巨大噴火は、完新世最大の火山災害事件であった。
ポンペイを滅亡させた数百倍の規模の火砕流が、海中から噴出し南九州地域の100km範囲を襲ったのである。
更に空中高く舞い上がった火山灰は、日本列島全域と、朝鮮半島にも降下し厚く堆積した。
恐らく火砕流分布地域は瞬時にして廃墟となり、生活していた縄文人は死滅したことは言うまでもない。
この列島最南端の一地方で起こった巨大噴火は、日本列島の縄文社会を根底から変革し、新しい日本列島人の歴史を決定づけた大きな出来事だったのである。
火山灰は周辺地域に暴風雨のように降り注いだのである。
また風に飛ばされた細粒の灰が大量に空中高く舞い上がり、広く日本列島各地に降り積もった。
これが「鬼界アカホヤ火山灰(K-Ah)」と呼ばれる堆積物である。
各地の厚さは南九州で70~60cm、東九州で50cm、近畿地方で20cm、東北地方南部で10cm、東北地方北部で5cmの層厚が観察された。
この火山灰層中には、縄文時代早期終末の東海系の天神山式土器が発見され、年代測定では6330(±85)年前とでたことから、鬼界アカホヤ火山灰は、考古学編年で縄文早期終末~前期初頭頃の噴出物であることが判明した。

鬼界カルデラの巨大噴火によって、南九州地方の縄文社会は壊滅状態に陥ったが、わずかに残った縄文人は、住居も埋まり動植物も死滅したムラを捨ててこの地を離れて行く。
ある集団は歩いて中部・北部九州へ、また海に熟達していた海人集団は、丸木舟や筏舟に乗り込んで対馬海流を利用して西部九州から、対馬海峡を越えて日本海側に北上して行き、また黒潮本流に出た集団は、四国、紀伊半島の太平洋沿岸から伊豆諸島の島々に7ノットにも達する激流を乗り越えて見知らぬ土地に移住して行った。
南九州縄文人の移住によって、列島内の縄文社会には大きな変革があった。
つまり先進的な新石器社会を営んでいた集団の技術や精神の伝達によって、新しい縄文文化が各地で誕生したのである。
海人集団の移住は各地の縄文社会の流通機構にも変化をもたらした。
新潟県糸魚川に産出する緑色貴石のヒスイ(翡翠)製品が、北は北海道、青森県から南は鹿児島県や遠く沖縄本島にまで出土している。
この数千kmにも及ぶヒスイの広がりは、南九州縄文集団、つまり海人技術が関与しなければなしえない遠大な海洋航行の産物であった。

アメリカのスミソニアン博物館の考古学者エバンズ夫妻が1965年に発表した仮説がある。
5000年前頃の九州有明海地方の縄文前期人が、漁に出て大風で丸木舟が流され太平洋を1万km以上も航行して、南米エクアドルに到達したというものである。
1999年にはハワイ・ビショップ博物館篠遠喜彦によって、赤道を越えたバヌアツ共和国のエファテ島で、縄文土器が発見されたという詰もある。
この土器は胎士分析によって、東北地方の縄文前期・5000年前の円筒下層式土器であることが判明している。
この2つの縄文人の壮大な渡航の話は、今日の日本の縄文文化の考古学的成果に照らせば、決して不可能なことではない。
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  1. 2013/08/28(水) 07:00:37|
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