続・竹林の愚人 「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱

「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱

「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱

2011/6/7

鈴木貴博

昔むかし、あるところに、仕事はデキるけれど生意気な、イシイという若手社員がいました。
イシイ社員の上司は、サイトウ事業部長といいます。
「一本を狙いにいく必要はありません。目標はあくまで勝つことです」というイシイ社員の考えが、サイトウ事業部長には美しい考えだとは思えないのです。
しかし、イシイ社員は結果を出しているので、事業部長も面と向かって仕事のやり方に口を出すことができません。
ある日、イシイ社員はサイトウ事業部長のところにやってきて、こう言いました。
「良い転職先があるので、会社を辞めます」。
こうして、イシイ社員はいなくなりました。
おかげで、サイトウ事業部長も気が楽になりましたが、事業部の業績は急激に悪くなっていきました。
新しいやり方ができる社員しか業績が出せない時代に、この会社のやり方が古かったからです。
このたとえ話のもとは、3年前に「柔道」という分野で起きた人のマネジメント問題である。

2008年の北京五輪で金メダルを獲得した石井慧選手が、総合格闘技へ転向すると正式に表明したのが11月。
現役の若手金メダリストがプロ格闘技に転向するという話に、多くの人が驚いた。
確かに北京五輪における日本柔道男子のメダル数は過去最低だったが、斉藤監督はアテネ五輪では結果を残している。
北京五輪以降、石井選手と斉藤監督との間の確執が何度もメディアで伝えられ、その後、石井選手は総合格闘技への転向を表明した。
石井選手は「こんなに早く転向するつもりはなかった」とも語っていた。

イシイ社員がいなくなったことで、サイトウ事業部長は、せいせいしたかもしれない。
だが、会社として見れば、これからグローバルレベルで競争相手に勝てる可能性を持った優秀な社員がひとり、辞めてしまったのだ。
このマイナス影響は大きい。
では、会社はなぜ、イシイ社員を転職に追い込むことになったのか。
よくよく考えてみると、イシイ社員を「指導しようとした」点に原因がある。
いや、「管理しょうとした」と言うべきだろう。
この「育てる」という方向性が、イシイ社員にはピンと来なかったに違いない。
何しろ、それまでのやり方とは違ったやり方で、イシイ社員は結果を出していたのだから。
企業経営的に見れば、暴れん坊だが器の大きい若手社員が上司とうまくいかずに困っていたら、コミュニケーション能力が低い上司の方が〝悪い〟のだ。
「上司には代わりがいるが、部下には代わりがいない」と考えるのが経営者の視点であり、力のある若手が働きやすい環境を作っているわけだ。

石井慧選手は何とアメリカで柔道界に復帰した。
米国市民権を獲得して2016年のリオ五輪のアメリカ代表を目指すというから、実に自由な行動ぶりではないか。
心から応援したいと思う。
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